
箱宮 ケイ
講談社 刊
発売日 2010-10-08
個人的にはもっと長く続いてほしかったのですが、本作はこの4巻で完結です。
中身的には、語りも乱れず、作品世界が劣化することもなく、既刊をお買い
求めの方には、文句なくお奨めです。
初めてこの巻に触れようと興味を持たれた方については、ぜひ一巻から通しで
読まれることをお奨めします(たぶん、わけがわからなくなるでしょうから)。
既刊のペースとは違い、少しペースが速くなっていますが、破綻することも
なく、うまく話の前後をつなぎ合わせています。間違いなく、この作者は
腕を上げてきています。
いろいろと刺激ばかりで絵の力ばかりに頼ったり、メディアの恣意的な販売
戦略の中で大量消費されていく「商品」であるコミックは、いろいろな面で
行き詰まりを見せ始めています。もちろん、この作品もその「商品」の一つ
であることに変わりはありません。
ですが、わたしはこの作者に対して、かすかながらも希望を持ちたいと願って
います。それが、レビューのタイトルに掲げた、最終話での語りが本気であるか
どうか、にかかっています。
一巻からこの最終巻まで通しで読んで、そして最終話で語られることが、もし
本気で語られているとしたら、この作者にはその未来を期待すべき実力が備わって
おり、うまくすればコミックというメディアを本当の意味で変革する力になりうる
かも知れません。
とはいえ、この業界は残酷で嫌らしく、狡猾な罠に満ちています。
願わくば、それらをくぐり抜け、素晴らしい著歴を残されることを願って。
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